子育て支援・家族関係セミナー講師 赤松邦子さん
子育てや家族関係、地域コミュニティについてのセミナーや講演が主な仕事です。パパやママ向けに子育て講座、パパのワークライフバランスについての振り返り講座、子育て支援者向けのスキルアップ、親子つながりあそびセミナーの講師をしています。子どもとのかかわり方・夫婦や家族・子育て支援・住民主体の地域づくりなどがテーマです。
奈良県で『なら子育て応援団』団長としても活躍する赤松さんは、子育て支援といえば「赤松さん」と名前が出るほどの有名人。長年のママ支援からパパ支援、祖父母支援に時代の変化とともに広がり、今では地域を巻き込んだ居場所づくりまでおこなっています。そんな赤松さんにボランティアから仕事につなげていったお話をお聞きしました。
【自分らしい仕事にたどり着くまで】「地域を巻き込んだ居場所づくりから講師へ」
結婚前は、幼稚園の教諭として働いていました。結婚後、専業主婦となり子育てに専念。幼稚園教諭と子育ての両方の経験を生かし、親子あそびをボランティアでやりはじめました。その中で、一時的な遊びの提供だけでは、ママのしんどさは、ちっとも減らないことに気づいたんです。
そこで、当時子育て支援について自治体事業が皆無だったこともあって、行政の生涯学習公民館教室に年間自主企画として持ち込み、講師としてやらせてもらいました。具体的には、月に2回のうち1回は親子あそび、1回は託児付きのママセミナーです。セミナーの内容は子育てだけではなく、趣味講座、健康美容講座、コミュニケーション講座など。
自分たちの人生を楽しむための時間やスキルアップになることでママたちがいきいきと主体的に動く姿が見られ、私はコレだ!とやりがいを感じ、‘子育て支援は親支援’の方向に軸足を置くようになりました。勉強する中でファシリテーターという役割を知り、自分の持っている知識やアクティビティを組み合わせた講座を開発し、現在、自治体などから講座依頼を受けて講師の仕事をしております。
【独りで立つまで】「やりたいことに支払いを要求することへの気持ちの葛藤」
当初一番に悩んだのが、やりたいことに支払いを要求することへの気持ちの葛藤があったことです。それまで、ボランティアでやってきたので、それにお金をもらうことに抵抗がありました。参加されるママたちには無料で参加できるように、行政や民間の助成金をもらうための申請書作りや、講演活動や自治体へ売り込みすることに時間を割いたりしている間に、原点のボランティア活動のママたちとの時間が減っていったことにもジレンマを感じました。
今では、多様化するママたちの個別ニーズも多くなり独自の視点で支援していくようにしています。
【仕事の秘訣】「苦い経験もありました。やめる選択をしなかった自分にオッケーをだしてあげたい」
新聞やテレビなどのメディアに載ることやコラムを出したり、SNSやホームページなどでの発信が自分の仕事につながっていると感じています。好きな仕事だけを選べるのは夫の理解があるからこそと、家庭を大切にしながらやってきました。子どもが16時に帰ってくるとなったら、そこまでがリミットとし切り上げて帰ることもコツかと。一方で熱を出している子どもを置いて、どうしても外せないボランティア活動をした苦い経験もあります。「自分だけにしかできないことなのか?」と自問したり、「こんな母親を子どもや世間にはどううつっているんだろう?」と怖くなったことも。
やめる選択はできたのに続けてきたということは、私しかいないとか、社会のためだとかカッコつけないでつまりは自分がやりたかったからなんだと腑に落としています。転んだり停滞したりして悩みつつも前進してきたことは、現在の仕事に大いに生かさなければと考えています。それが私の使命なんだと!
一日のタイムスケジュール
6:00 起床・朝食、家事
6:30 家事をしながらSNSのチェックや新聞チェック
9:00 講座の仕事・私的活動(家事 ジム通い 趣味 ボランティア活動)
17:00 夕食の支度しながら、デスクワーク
19:00 夫と夕食、ワインを楽しむことも
21:00 講座準備 資料作り
23:30 就寝
「これから何かをやってみたい」という方に伝えたいこと
働くだけではなく、何か社会活動を始める前に準備することって実はたくさんあります。子どもが園に通うようになったらやろうと思っているのであれば、子どもが傍にいる間だからこそ準備してほしい。家族・家庭のことなどを考える機会を作って欲しいと思っていますが、独りで考えたり時間を作ったりするのは難しいですよね。WFC主催の「いずれ働きたいママ講座」では時間の使い方や協力をもらう家族とのコミュニケーションなど働く前から整えておくと働きだしてからスムーズになります。今の眼の前のことでいっぱいになりがちですが、2~5年など少し先を見通して、‘私の棚卸しをしてほしいと思います。