食事を通じて、健康の素晴らしさを伝える!〜桐山昌代さん〜「吉野のめぐみ」オーナー
食事を通じて、健康の素晴らしさを伝える!柿の葉寿司ワークショップも人気!
「2019年版・BLOOMメンバーへのインタビュー企画」今年のインタビュアーは池内詠子。フリーアナウンサー・司会者として様々なジャンルの方々にインタビューをしてきた私、キャリアコンサルタントとしても多くの方々に話を聴いてきた。そんな私が、働く女性たちに仕事の話はもちろん、生き方、家族、心の声、夢、リアルな本音に迫ってみる。
インタビューの日程を決めたのは昨年12月だった。年が明けて・・・まだお会いしたことのない昌代さんのFacebookの投稿にご主人の訃報を見た。日程の変更を連絡したところ、そのままで、との返信。
緊張しながらWFCのオフィスへ向かう。オフィス内には代表の栗本さんと談笑する女性たち・・・一礼し、通り過ぎようとすると・・・「池内さん、桐山です!」と笑顔で声をかけられた・・・。
第26回 マルキ果樹園・美肌食マイスター 桐山昌代さん
奈良県吉野郡下市町のお生まれ、現在も下市町にお住まいだ。
銀行、化粧品会社と勤務したのち、28歳の時に、10歳年上のご主人の元に嫁いだ。当時、中学1年生と小学校5年生のお嬢様たちがいるご主人との子連れ再婚。お嬢様たちを残し、病気で亡くなった奥様のことも昌代さんはよく知っていたそうだ。
当然、周りは大反対! それを押し切り、「いっぺん、行ってくるわ!」と、富有柿の果樹園を営む農家に嫁いだ。
柿栽培農家の嫁に
「百姓はせんでいい。」そう言われていた・・・が、そういうわけにはいかなかった。
お嬢様たちとの関係も上手に構築、そして昌代さんは29歳、31歳でお嬢様たちを出産。夢中で子育てするうち、あっという間に結婚から5年が経った。
“このまま農家の嫁で暮らすのか・・・。” 収入源を確保する目的もあり、介護職に就く。以来、26年に渡り、地元の病院で介護の仕事を続けることになる。
ご主人のお父様の代から富有柿を栽培してきた「マルキ果樹園」 ご主人はひたすら柿を栽培するのみ、販売・経営のことは全て昌代さん。
柿の販売ルートを知れば知るほど、昌代さんはなんとかならないかと考えていた。
そして始めたのが、無人販売!これが大当たりした!
“ここの柿は美味しい!”と評判になり、毎年買いに来てくれるお客様、贈答用にと来てくれる方、地方発送もするようになり、ファンがどんどん増えたのだ。
奈良県中の温泉に営業をし、大宇陀温泉“あきのゆ”での販売許可をもらった。
1人が買ってくれると、次のお客さんを連れて来てくれる・・・それが昌代さんは嬉しかった。
柿の販売方法を工夫する一方、家庭では、ご主人とご自身のお母様、そして、ご主人のおばさまの介護もしたのだという。介護のプロとはいえ、家業もしながら、介護の仕事もしながらの日々が続いた。無我夢中で過ごす中、4人のお嬢様たちは嫁いでいった。
そして、5年前、ご主人が肺がんであることがわかった。
柿の葉寿司ワークショップ
ご主人の介護で、なかなか自分の時間が取れない中、3年ほど前、柿山で何かをできないだろうか・・・と考え始めた。
そこで思いついたのが、柿の葉寿司のワークショップだ。最初にWFCで開催。買うものだと思われている柿の葉寿司を、お魚をおろすところからはじめ、柿栽培の裏話などを交えながらすすめるワークショップだ。これが評判となり、あちこちから開催要請がくるようになった。公立高校の家庭科の授業にも登壇した。
このワークショップは現在も続けている人気講座だ。
体験型民泊
昌代さんの住む地域は、過疎化・高齢化・人口の減少など、いわゆる田舎が抱える問題に直面している。農家の人材不足、また空き家も増えている。働く場が少なく、観光地というわけでもない。
そんな地域に若い人たちに移住してもらうにはどうすればよいのか・・・。今、昌代さんの頭の中にあることは・・・「自然を活かした事業」だ。
ワークショップや、自然の中での体験などを備えた民泊。春は山菜摘み、秋には柿狩り、薪で焚いたお風呂、そして奈良の伝統食でもてなす民泊、そんな民泊に向けて準備中だ。
この体験型民泊が実現すれば、若い人たちに果樹園・農業に興味を持ってくれる人たちが増え、移住につながればと願っている。
ご主人が遺してくれた柿、家。ご主人がやってきた社会貢献、地域貢献を、自分が受け継ぎ、今度は自分がこの地で地域に貢献していくんだ、と語る。
介護の仕事を今年で退くつもりだという。昌代さんの夢を、あちこちから応援してくれる人たちの声が聞こえるのだと。
「あっという間の30年だった・・・主人との最後の5年間が本当に貴重な日々だった・・・本当に可愛い主人だった。俺が守ったるぞ、という声が上から聞こえてる。人生最後の仕事として、これを成し遂げることが、主人への供養やと思ってる。」
桐山昌代さんリンク
池内後記
7人のお孫さんたちは、昌代さんのところに遊びに来るのが大好き。月に1度、先輩のエステを受けるのが息抜き、年に1度変身写真を撮ってもらうのも楽しみなんだそうだ。
約90分のインタビューの間、昌代さんは涙を見せることはなかった。むしろ大声で笑っていた。インタビューを終える頃、私はもう抑えられなくなり泣いてしまった。ご主人との深い愛情と信頼関係、そして家族を支えてきた昌代さんの思い、これからは地域のために貢献するんだというエネルギーを感じ、涙があふれてしまった。そんな私に、昌代さんは「泣いてくれてありがとう・・。」と。
秋にマルキ果樹園に遊びにおいで、と言ってくださった。実は・・・柿があまり得意でない私・・・でも、昌代さんの柿、これは食べてみたいな、と心から思った。