鍼灸師〜向井朋果さん〜鍼灸でたくさんの人に幸せを、心を通わせる瞬間を大事に!
鍼灸師・鍼灸でたくさんの人に幸せを、心を通わせる瞬間を大事に!
2019版・BLOOMメンバーへのインタビュー企画」今年のインタビュアーは池内詠子。フリーアナウンサー・司会者として様々なジャンルの方々にインタビューをしてきた私、キャリアコンサルタントとしても多くの方々に話を聴いてきた。そんな私が、働く女性たちに仕事の話はもちろん、生き方、家族、心の声、夢、リアルな本音に迫ってみる。
初めてお会いする朋果さん。現れた朋果さんは・・・若いっ!聞けば、長女とほぼ同い年。20代のBLOOM会員さんだ。
第14回 鍼灸師 向井朋果さん
朋果さんは現在奈良市内でご両親様と住んでいる。お父様のお仕事の関係で、小学校5年生まで大阪の泉南市で過ごした。一つ年上のお姉さまの中学の入学に合わせて奈良に。転居してきた頃は泉州の言葉がついつい出てしまったり、微妙な言葉遣いの違いに戸惑いつつ、周りに合わせてゆっくり話すよう心がけていたそうだ。
スポーツに打ち込んだ中・高時代
ソフトテニスをしていたお母様の影響もあり、泉南にいた頃はクラブチームでソフトテニスをしていたんだそうだ。
中学でも続けたい気持ちがあったが、学校のクラブ活動は剣道かバレー、バドミントンしかなかった。そこで朋果さんはバドミントン部に入部した。
とにかくバドミントンが好きで、奈良市の大会でシングル2位、県大会でもベスト8という成績を残した。
進学先に選んだ高校は自転車で通えるところ。電車やバスを待つのが嫌で、自転車で通える学校を選んだ。自分のタイミングで動けるところ、行動できることが、進学先を決めるときの一番の条件だったんだそうだ。朋果さん曰く、こだわりが強かったんだと。
高校ではなんと女子サッカー部に入部する。お母様は大変驚いたそうだ。バドミントンは個人のプレーが重要だったが、サッカーではチーム力が要求される。他のメンバーと協力すること、合わせていくこと、周囲の様子をうかがうことを身につけていった。良い仲間達に恵まれ、誰か一人ができないことがあると、みんなで練習し、協力し合う、そんなチームだった。
朋果さんは高校2年の時に奈良県の代表選手に選ばれた。ところが国体での試合出場メンバーには選ばれず、コーチからマネージャーとして国体に参加することを提案され、マネージャーとしてチームメンバーをフォローした。
高校3年の時にも再び国体選手に選ばれたが、やはりスタメンではなかった。奈良県チームが、あと10分で負けてしまうという時に、コーチは朋果さんを選手として出場させてくれた。1年前から献身的にマネージャーとして動く朋果さんをみていたコーチが、最後の最後にどうしても彼女に国体を体験させたかったのだ。このマネージャーとしての経験は、朋果さんが初めて人のために尽くすこと、それにより人に喜んでもらえたという体験だった。
鍼灸師になるために進学
卒業後の進路を相談するための三者面談で、朋果さんはいきなり『鍼灸師になりたい!』と言いだし、先生とお母様をびっくりさせた。朋果さんは子どもの頃から、保母さんになりたいとなんとなく思っていたのだが、本当に自分は保母さんになりたいのか、と考えるようになっていたという。
自分の意思で進路を決定したい、手先が器用なことを活かす資格はないだろうか・・・。国体のマネージャーで人のために尽くした経験もあった。誰かのために何かをすることはできないだろうか。進路の先生にもらったパンフレットに、女子でも取得できる資格として鍼灸師が掲載されていた。これにピン!ときた。
大阪吹田明治東洋医学院専門学校・鍼灸科に入学した。女子の入学が増え始めた頃で、朋果さんが通学した午前の部のクラスでは半数くらいが女子生徒、しかし同年齢は数名、ほとんどがすでに社会人経験のある年上の人たちだった。
鍼灸を学ぶ学生は、学生時代から鍼灸院でバイト経験を積むケースが多いという。だが朋果さんは、色々な経験をして成長したいという思いが強く、パン屋さんでアルバイトをしたそうだ。「相変わらず、こだわりが強かったんです。」と振り返る。
3年後、国家資格を取得。マッサージではなく、鍼とお灸にこだわりを持っていた朋果さんは、東大阪市内の鍼灸院で働き始めた。アルバイト採用だが、院長や副院長の手技を間近に見て学び、院長の漢方処方を手伝わせてもらっていたという。毎日の勤務ではなかったことで、鍼灸に向き合う以外に自分の時間はあった。朋果さんは将来いつか自分の店を持つことを見据え、登録販売士の資格を取得し、薬局でもアルバイトをしていたそうだ。
2年後、ある方の紹介で奈良市内の鍼灸院へ転職。ここで、“鍼灸とは何か”ということを深く学ぶ機会を得た。人と人との繋がりや、心を通わせた人同士が手で触れて五感で感じること、鍼でその方が持っている治癒力を高めることを体験した。だが、このころの朋果さんは、人の心と身体を癒す立場であるのに、自分の心と身体がすり減っていく感覚を持っていたのだという。“これではダメだ・・・。” 思い悩み、3年後に退職した。
落ち込む朋果さんを癒してくれたのは、専門学校時代の非常勤講師だった先生だ。先生の治療院に患者として通った。元気を取り戻した彼女を、先生は勉強会に誘い、さらに自己成長のため、ホスピタリティの学びのためにスターバックスでのアルバイトを薦めてくれた。
現在、そしてこれから
朋果さんは現在、スターバックスで働きながら、お客様に訪問施術を行なっている。彼女に施術を受けたお客様からのクチコミでどんどんお客様が増えているそうだ。
朋果さんは、スターバックスの掲げる理念にとても共感している。“お客様に誠実に向き合い、威厳と尊敬をもって心を通わせる、その瞬間を大切にします。”というフレーズは特に朋果さんがいつも大事にしていることだ。
スタバでの一杯のコーヒーが幸せな気持ちをもたらすのと同じように、自分の鍼やお灸で幸せを感じて欲しいと語る。
東洋医学は予防医学、病になる前に予防することの大切さを広めたいという。“心身一妙” 心と体はひとつ、からだ全体を整えることをしてから、患者さんの抱える局所の痛みに向き合うことを施術の中では大事にしている。
WFCには奈良商工会で紹介され登録したそうだ。女性が多く集うWFCで輪を広げていきたいと願う。
彼女の夢は自分の治療院を持つことだ。お子さん連れの患者さんでも気兼ねなく訪ねてもらえる治療院にしたいと。いずれは彼女自身も結婚し、母になることも考え、朋果さん自身も長く働き続けられる環境づくりをしていきたいと話す。
向井朋果さんリンク Facebook
池内後記
歩み始めたばかりのフレッシュBLOOM会員さんだ。だが、しっかりと自分のこだわり、理念を持ち、自分にしかできない鍼灸を確立しようとしている。ちなみに、サッカーをすることに驚き、鍼灸師になりたいと言った時にも驚いたお母様は、今は応援してくれているとのこと。
私も応援団の一人として、彼女の夢の実現を見守っていきたい。