フラワー心理セラピスト・いけばな療法士〜利山知美さん〜独自のフラワーデザインセラピストという世界を拓く!
フラワー心理セラピスト・いけばな療法士、独自のフラワーデザインセラピストという世界を拓く!
2019版・BLOOMメンバーへのインタビュー企画」今年のインタビュアーは池内詠子。フリーアナウンサー・司会者として様々なジャンルの方々にインタビューをしてきた私、キャリアコンサルタントとしても多くの方々に話を聴いてきた。そんな私が、働く女性たちに仕事の話はもちろん、生き方、家族、心の声、夢、リアルな本音に迫ってみる。
この日初めて会う知美さん。明るいピンクの装いが華やかだ。
お仕事の内容から話を始め、いつ頃から、今のお仕事を始めたのかをうかがってみると・・・なんと50歳からのスタートだというのだ!
知美さんはどんな人生を歩み、50歳からの起業に至ったのか・・。
第10回 フラワー心理セラピスト・いけばな療法士 利山知美さん
知美さんは大阪の寝屋川で生まれた。コンピュータ会社に勤務しながら、“花嫁修行”のひとつとして池坊でお花のお稽古を始めた。一緒に住んでいたお花好きのおばあちゃまの影響もあったという。
ご主人とは社内で出会った。知美さんは人事課、ご主人は営業課。社内旅行がきっかけ。ご主人の誠実さに惹かれ、約1年の交際期間を経て26歳の時に結婚。仕事は退職。そして奈良での生活が始まった。
結婚して奈良へ、出産と介護
28歳の時に女の子を出産。お嬢さんが生後半年ほどの頃から、その後長きにわたり、知美さんはご家族のために献身的に過ごすこととなる。
ご実家のおばあちゃまの看病が必要になり、共働きのご両親様と協力しながら、おばあちゃまのお世話を、さらにはおじいちゃまの看病もすることとなった。
おばあちゃまを見送った後、知美さんは32歳で男の子を出産した。ところが出産時のアクシデントにより、息子さんはずっと病室に。さらにはお嬢さんも予防注射による副作用のため入院。それぞれの病院を行ったり来たりするという日々。そして、悲痛な現実が・・・一歳になったばかりの息子さんとの永遠の別れ・・・。その後、ご実家のおじいちゃまの看病もし、見送った。
お稽古を復活
中断していたお花のお稽古を復活したのは、お嬢さんが小学生になる頃だった。その頃、ご主人は東京に単身赴任となる。少し自分の時間が持てるようになり、フラワーアレンジメントも習い始めた。お花と雑貨を扱うお店で仕事も開始し、お花のアレンジメントをお店で販売もするようになった。
お嬢さんが5年生の時に、ご主人のお母様と同居することになり、2世帯同居がスタートした。ところが、2ヶ月ほどした頃、ご主人のお母様が急に怒りっぽくなり、知美さんを怒鳴り散らすことが増えた。あんなに優しいお母様だったのに・・・一体どうしたんだろう?知美さんは悩み、一生懸命、お母様のためにと尽くしたが、一向におさまらない。結局“攻撃性うつ”と診断され、治療を開始。ご主人が単身赴任で不在の中、知美さんは一生懸命お母様のためにと日々を過ごしていた。お母様は最期の最期には、知美さんに感謝のことばを残して天国に旅立っていかれたという。
お嬢さんはいつしか大学生になり、留学。単身赴任をしていたご主人は奈良に戻っていたが、知美さんは昼間一人でいることが多くなった。「何かしたい・・・。」
資格を取得、そして起業
色を使ったセラピーを以前に少ししていたことを思い出し、奈良のカラースクールのイベントに参加してみた。お花のアレンジに活かせるのではと考えたからだ。そこで検定のことを知り、そこから3ヶ月間、毎日10時間以上の猛勉強。そして“内閣府認定 色彩検定 色彩コーディネーター”を取得、色彩心理の資格もあわせてとった。
「資格を活かし、お花と色を結びつけてやっていこう。」と思った時、心理学の学校でお花と色に加え、心理学を学べるところがあるのを知った。“フラワー心理セラピスト”の学びを1年間、さらに“コミュニケーション心理士”の学びにもう1年、通学した。これに続けて、認知症ケアができる“いけばな療法士”の資格も取得した。
現在、知美さんは、「フラワーデザインセラピスト」というオリジナルの呼称を使っている。これは「お花・心理学・色を融合させた芸術心理療法に関わる事業」と「フローリスト活動」の総称である
芸術心理療法の内容は大きく二つに分類される。一つは、たとえば“元気になるため”など目的を持ってお花を生けてもらうというセラピー。そして、もう一つは自由に生けたお花からその方の心理を、潜在意識を探っていくセラピーだ。
フローリストとしての活動は、お花のアーティストとしてのものだ。アーティストとしてコンテストに出場、フラワーデコレーターグランプリでは、全国大会9名の中に選ばれた。阪急百貨店が開催した“母の日のアレンジ”では、お客様の投票で一位に輝いた。また、生駒市役所にてエコ茶筌(伝統工芸品である茶筌の形をした花器を使用、ヒビがあって正規に販売できない物を使うのでエコ華道と命名されている。)で華道展示もしている。
さらに、知美さんは“いけばな療法士”として、主に高齢者施設で活動している。昨年から“愛宕古道街道灯し”というイベントで認知症の方々の生けた花を飾る“いけばな街道”というイベントに参加している。
また、“フラワー心理セラピスト”としてスクールの講師も務める。“コミュニケーション心理士”としては、介護士の皆さんや子育て中のママさんたちに研修を行う。ならどっとFMではパーソナリティを、またフラワーアレンジメントの教室で指導するなど、実に幅広く活躍中だ。
自分の人生を振り返ると、看病に明け暮れて、お嬢さまにしっかり向き合えなかったかな、と反省することもあるんだそうだ。そんなお嬢さまは、“羊毛フェルト絵画”という、日本ではまだ珍しい絵画の芸術家を目指し歩み始めているんだという。
知美さんの夢は?と尋ねてみた。“ストレス解消の花”となるようなものを広めていきたい、と。「植物が持つセラピー効果だけではなく、心の仕組みも理解して、介護をしている方々・迷いながら子育てに頑張るママたちに届けたい、人が心豊かに生きていく応援となるような活動をしていきたい。」と話してくれた。
知美さんリンク WFCコラムhttps://wfc-bloom.com/members_column/3289/
アメブロhttp://ameblo.jp/flower834
池内後記
知美さんは終始優しい表情で、乗り越えて来た数々の苦難を語ってくれた。たった数行の文章にすることを躊躇するほどの体験である。「必ず明るい家庭を取り戻したいという強い信念がありました。」と知美さん。“優しさと強さ”そんなことを考えながら、話を聴いていた。自身の経験と、専門の学びを軸にお花を使って癒しの活動を行う知美さん。彼女のお花はこれからもたくさんの人々に寄り添い、励まし、癒していくであろう。