グラフィックデザイナー〜蓮蔵直美さん〜カウンセリングを大切にペーパーアイテムをデザイン!
グラフィックデザイナー、カウンセリングを大切にペーパーアイテムをデザイン!
2019版・BLOOMメンバーへのインタビュー企画」今年のインタビュアーは池内詠子。フリーアナウンサー・司会者として様々なジャンルの方々にインタビューをしてきた私、キャリアコンサルタントとしても多くの方々に話を聴いてきた。そんな私が、働く女性たちに仕事の話はもちろん、生き方、家族、心の声、夢、リアルな本音に迫ってみる。
直美さんは、元々はカウンセラーになりたくて、大学でも心理学を専攻したそうだ。小学生の時に見たドラマに影響を受けたのだという。
第20回 グラフィックデザイナー 蓮蔵直美さん
女優中谷美紀さんがスクールカウンセラーに扮したドラマ、そのエンディングで全国の高校生の悩みが紹介されていたそうだ。人々の悩み、本音を読むのが好きだった。
カウンセラーを志していた大学時代
大学の臨床心理学のゼミでは、あまり親しくない仲間同士が深い話をすることに当初戸惑いがあった。だが次第に自分の本音を話すこと、ゼミの内容にも興味を持つようになっていった。
しかし、精神科のクリニックに勤務していた友人が徐々に元気がなくなっていくのをみて、カウンセラーになりたいという気持ちが失せていった。自分の将来も悩み始めた。人が持つ、悲観的な部分には惹かれるが、それに向かい合うことよりも、ポジティブな方向に引き上げていくことの方が自分には向いているのではないだろうか・・・。
大学を卒業後、美術短大へ
悩んだ結果、大学を卒業した後、京都の美術短大に入学することを選んだ。入学当初はオリジナルのキャラクターを描くことに夢中になっていたが、途中からグラフィックデザイナーを志すようになっていった。
そして短大を卒業。
京都の印刷会社に正社員で就職した。京都のホテル・学校のパンフレットを手がける大手の会社だ。
最初の1、2年は目の前にあることを一生懸命していたが、だんだん違和感が生まれてきたのだという。クライアントとの希薄な関係性の中で、数を多くこなし、自分の数字のノルマを達成することが目標になっていること、そして、1人の企業人として仕事に関わっていることに慣れてしまい、自分がロボットかのような気持ちになっていること、さらに、クリエイティブではなくなってきているような感情を持つようになったのだそうだ。
入社してすぐに、会社の同期、営業をする男性と交際するようになっていた。直美さんが抱えていた悩みを、彼も同じように抱いていた。
5年間勤務の後、退職し、翌月に入籍、昨年の春のことだ。そして秋に結婚式をあげた。
披露宴で使うペーパーアイテム作り、動画の作成を全部自分でしたところ、久しぶりの物作りが大変楽しく、達成感もあった。
何かしたいな・・・。転職するのかどうするのか・・・。悩む直美さんに「自由にやって欲しいな、フリーランスでやってみたら?」とご主人が提案。
検索をしてみると、自宅のすぐ近くにWFCがあることを知った。
夢はカフェ兼デザイン事務所
そしてフリーのグラフィックデザイナーとして歩み出すことになった。
現在、直美さんが関わっているのは、スタートアップ企業や、個人事業主への広報・デザインの提案である。最近では、地元の奈良を基盤に展開している「Lilionte」というお菓子のデザインに携わっている。クライアントの方としっかりと関係性を築きながら、一緒になって思いを掘り下げていくことを大切にしたいという。話を聴くのが上手い、とよく言われるのだそうだ。それもそのはずだ、カウンセラー志望だった直美さん、人の話を聴くことは得意だ。
その人の話を良く聴き、最適なデザインを考えて行く作業・・・会社員時代にあれほど苦手意識を持ち、コンプレックスさえ感じていたというヒアリングが、今は一番楽しい時間になっているのだという。
印刷工程に“塗り足し”という工程があるんだそうだ。これは印刷工程で断裁時のズレを防ぐために、仕上がりサイズよりも余裕をもたせた部分のことだ。この塗り足しは、印刷時には必ず必要なものだが、断裁されれば役目を終える。製品として消費者の目に触れられることはない存在だが、陰の立役者のような存在だ。実社会でも、現段階ではあまりフィーチャーされていない、生活に絶対に必要なものではないが有るとなぜか心が落ち着いたり、幸せを感じられるモノ。そんな『何か』を考え出したい、生み出したい、と直美さんは語る。そして将来的には、ご主人と一緒にカフェ兼モノづくりをする場所を作っていきたいと語ってくれた。
蓮蔵直美さんリンク
池内後記
この日、学生時代に作ったという子ども向けカードの話をしてくれた。日本語のオノマトペ(擬声語)を学ぶためのツールとして、直美さんが可愛いイラスト付きで考えたものだという。だがどうやってこれを楽しむか、そのルールをまだ考えていない。一緒にあれこれ考える時間がとても楽しかった。
まだ結婚したばかり、フリーのデザイナーとしても歩み出したばかり。夢だけではなく、抱える不安も話してくれた。WFCには素敵な働くママたちがいっぱいいるよ、心配せずに頑張れ!そうエールを送りたい。