自然・調和・言葉の大切さを伝える〜佐谷由佳さん
自然・調和・言葉の大切さを伝える、伝令師・佐谷由佳さん
「BLOOMメンバーへのインタビュー企画」今年のインタビュアーは池内詠子。フリーアナウンサー・司会者として様々なジャンルの方々にインタビューをしてきた私、キャリアコンサルタントとしても多くの方々に話を聴いてきた。そんな私が、働く女性たちに仕事の話はもちろん、生き方、家族、心の声、夢、リアルな本音に迫ってみる。
佐谷さんのインタビューは3月末、zoomで行なった。どんなことをしていらっしゃるの?とお尋ねすると・・・「伝令師(でんれいし)です!」と答えてくださった。日本に古来より伝わる叡智を新しい形で次世代に繋いでいく・・・それが伝令師として佐谷さんがしていることだ。
第35回 伝令師・声楽家 佐谷由佳さん
由佳さんのおばあちゃまはご近所の方々の様々な悩み相談に乗っておられたという。そしてお母様のご先祖様は江戸時代から「辻占い」をしていたそうな・・・。
音大を目指し練習の日々
礼儀作法、道徳観念を大切に躾けられた。3歳の頃から歌の練習に通い、小学校5年生からは音大受験を念頭におき、ピアノのお稽古を開始。合唱団や聖歌隊で活躍し、中学時代は吹奏楽部でクラリネットを吹いていた。高校時代はピアノと歌の練習の日々、全ては音大受験のためだった。
そして奈良の音楽短大に合格、2年の学びの後、専攻科でさらに1年、合計3年間の奈良での下宿生活を経験した。短大時代に、雅楽に出会い、篳篥(ひちりき)・琵琶の演奏を始めた。その後、竪琴も始め、これらは現在に至る。
結婚、御所市へ
卒業後は実家に帰り、ピアノと歌の指導。そして23歳の時、学生時代に出会っていたご主人と結婚し、再び奈良に、現在の住まい御所市での生活がスタートした。当初は夏の暑さに驚き、冬の厳しい寒さにまた驚き、環境や文化の違いに戸惑い、「やっていけるのだろうか・・・。」と思い悩んだ。
仕事はせず、専業主婦だった。結婚から6年後に妊娠、ご長男を出産、ところがその後体調のすぐれない日々が続いた。妊娠中から体調が悪く、免疫力も低下したのか、息子さんが中学1年生になる頃まで、入退院を繰り返していたのだという。
その間、ご実家のお母様、続いてお父様を相次いで見送った。ある時、亡くなったお父様が夢の中で由佳さんに「生きろ!」と励ましてくれる夢を見たのだそう。不思議なことに、そこから一気に体調が好転、食欲も戻り、次第に元気になっていった。
時代はリーマンショック、ご主人がリストラに・・・。「何か仕事をしなければ・・・。」と思い、自分に備わっている知識と能力を使って動き始めた。
伝令師として
由佳さんは、ご依頼があると、一緒に神社に出かけ、参拝の作法と手順のレクチャーをする。さらに神社の説明をし、一緒に和歌を詠む。この時間が癒される、と評判を呼び、遠方からも、また海外からも訪ねてくる人がいるという。
由佳さんは、日本古来からある言葉「大和ことば」のレクチャーもする。柔らかく温もりのある言葉だ。本来日本人が持ち合わせていた気持ちを思い出すように、古き良き時代の日本の叡智を新しい形にして次世代に伝えていきたいと考えている。「八百万の神様、森羅万象、自然、調和、言葉の大切さを伝えること、それが自分の役目。」と語ってくれた。
佐谷由佳さんリンク
池内後記
1人息子さんは結婚し、お孫さんも誕生したそうだ。
奈良には気持ちの良い神社が多い。天理の石上神宮から山の辺の道を歩き、檜原神社までのコースをおすすめしてもらった。桧原神社は私のもともと好きな場所。今の状況が落ち着いたら、ぜひ歩いてみたい・・・そうね、由佳さんに解説してもらいながら歩くのも良さそうね。